トップページ > 各種ご案内 > お知らせ > 「津軽料理遺産」とは?

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たとえば、インド料理であれば北インドと南インドの料理には、主食(粉食か米食か)や主菜(肉メインか野菜・魚メインか)といった大きな違いがあり、首都圏のインド料理店でも、この違いを前面に打ち出したお店が増えています。

つまり、これまでの「インド料理=カレー」という認識ではなく、少しずつではありますが、「インド料理=地方ごとのインド料理の集合体」という、本来あるべき姿に変わりつつあるということです。


では、日本料理はどうでしょうか?

インド料理が我々にとって海外の食事であるのと同じく、海外の方にとっての日本料理は、もちろん海外の食事となります。ただ、“SUSHI”、“TENPURA”、“UDON”、“SOBA”といったものが、日本料理の主要ラインアップとして認識されているのではと思います。

そして、それが日本料理として認識される理由は、その料理の味付けや調理法のどこかしらに、日本の要素が見受けられ、その経緯を説明することができるからではないかと思います。


これは、日本に住んで生活をしている我々にとっても、どこか同じではないでしょうか?

言い換えると、「オーセンティックな日本料理とは?」という質問に対して、誰も明確な答えを出せないということです。確かに、第一印象的に「日本っぽい」と言えることは重要ですが。

しいて言えば、日本の食文化そのものが、海外から伝わってきた料理の原型が、日本の風土気候に適応した形で、そして日本で採れる食材を活用し、発展し続けていることを考えると、「ハイブリッドな食文化」による料理となるのかもしれません。

つまり、結局は日本の要素が見受けられて、それが説明できれば日本料理という部分に戻ることになります。そして、日本の地方ごとの要素が見受けられれば、それはその地方の日本料理、つまり郷土食となるわけです。


では、地方ごとの要素ってどのようなものでしょうか?

これも難しい話で、日本には「ご飯があって味噌汁があって、漬物があって、あとはおかずがあって…」という食文化が今もジャパニーズスタンダードとして残っていることが、実は地方らしさを打ち消しているのではと思います。

この幸せな食卓構成が、あまりにも当たり前の状況になっているので、ごはんと汁物という共通項があると、地方ごとの食文化の違いに、それほど大きな差がないと感じてしまうのです。


では、ごはんや汁物に地域性があればどうなるでしょうか?

青森県という一つの単位の中でも、津軽地方や南部地方、そして下北地方において日常的に食されている郷土料理は異なっており、同じ県の中でも多種多様な食文化が受け継がれています。そして、ごはんや汁物に地域性があります。

更に言うと、実は津軽地方という中であっても、地区ごとに異なる文化を持っています。とにかく、面白いものなんです。


「たぶん、日本の食文化の要素として説明・発信すべきは、そういうことなんだろう。」と思い、津軽料理遺産という取り組みが始まりました。

これは、青森県の津軽地方にて代々受け継がれている料理について、「津軽料理遺産認定・普及委員会」による審議を経て、認定された伝承型郷土料理を、日本の食文化の要素として説明・発信すると共に、一人でも多くの方に召し上がっていただきたいというものです。

現在、100種類以上の料理が認定されております。このウェブサイトによって、一つ一つの料理が持つ「日本らしさ、そして津軽らしさ」を感じていただければと思います。


2008年7月15日 津軽料理遺産 認定・普及協議会